窓ぎわの晴太くん
夏子は笑いが止まらなかった。
明日笑えないから今の内に笑っておかなきゃ。
「それくらい晴太は里子ちゃんにつき合わなきゃ。
泣かせてばっかりだったんだから」
夏子は弟の威勢のいい言葉に感動していた。
「そうだ、そうだ、涼、言ってやれ!
この姉弟がハルのためにどんだけ走り回ったかってね」
晴太はビールを飲み干して仰向けに寝そべった。
「それは本当に感謝してるって言ったろ。
涼に関してはもう男同士で飲んだんだから分かってもらえてるって思ったんだけど」
涼はそんな晴太を睨んだ。
「分かってるけどさ、次、里子ちゃんをあんな目に遭わせたら今度こそは許さないからな」
晴太は起き上がりまた大きくため息をついた。
「ただでさえ明日の事で憂鬱なのにこれ以上俺を追い込まないでくれよ」
涼は苦笑いをした。
もう、本当は怒ってなんかない・・・
実は俺も、晴太が帰ってきて嬉しいんだ。
「あっ」
夏子が何かを思い出したように大きな声を上げた。
「ねえ、涼、いい話があるんだ。
ののちゃんに妹がいるんだった。
それも一つ下だから涼と同じ年じゃん。
なんか、姉ちゃん嬉しい・・・
出会いの予感?みたいな・・・」