窓ぎわの晴太くん
晴太はまた下を俯いた。
「何? 晴太、ののちゃんの妹に会った事あるの?」
晴太はもう疲れ果てた顔をしている。
「野々山海。
地方大学の医学部生。
これがまた里子の性格とは真逆で・・・」
「きつい?」
夏子がそう聞くと、晴太はうんと頷いた。
「もう、俺は嫌われてる。
里子は妹だけには俺の話をしてるみたいで。
マジ、こわい・・・
最近、里子のほんわかモードに慣れてしまってそういう女の子の対処の仕方が分からないんだ。
だから、俺の心は海の言葉で傷だらけよ」
涼はさすがに晴太が気の毒になった。
俺だってそんなきつい子は嫌だ。
里子みたいな癒し系がタイプなんだから。
「まだ、実家に帰ってきてないよね?」
夏子がそう聞いた。
「明日には来るって。
大学が忙しいみたいでギリギリになるらしい。
涼、お前ら同世代だからさ、
もし話す事があったら晴太はいい奴だって言ってくれ。
本当は優しい人間なんですよって」
涼は本当に晴太が可哀そうだった。
「多分、話す機会はないよ。
だって、俺もキツイ女の子苦手だもん」