窓ぎわの晴太くん



二人はベンチで色々な話をした。

医学部の6年生の海はこの冬に国家試験を受験しなければならない。
それに合格して初めて医者の卵になることや、研修は東京の病院を希望していて本来なら里子と二人暮らしをしたいと思っていたが晴太が・・・とか。

涼は晴太に言われた事を思い出した。


「あの・・・
晴太って結構いい奴なので、仲良くしてやってくださいね」


海はその時点で呆れた表情を浮かべた。


「そんな風にあなたに言わせてるようじゃ私の中ではまだ認められない。
里子はあんなだからすぐ騙されるかもしれないけど、私はそうはいかないから」


涼はその剣幕にすぐに黙り込んでしまった。

晴太が可哀そう・・・
頑張れ、晴太・・・


「涼さん、今、東京にいるんでしょ?」



「あ、はい」



「私が医者になったあかつきには、東京のお洒落なお店でディナーをおごってね」



「・・・・」



「あ、やっと来た。

里子、めっちゃウケる。
真っ白過ぎじゃない? でも、可愛い・・・」


海はあっという間にいなくなった。


確かにこわい・・・
でも、やっぱ、里子ちゃんにも似てる。
どこかは分かんないけど・・・



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