窓ぎわの晴太くん
鳥居の前に立たされた晴太はガチガチに緊張していた。
夏子は自分の努力の賜物の白無垢を着た可愛い里子を必死に写真に収めていた。
でも、隣で棒立ちの晴太を見るとこっちまで緊張してくる。
「ハル、笑って。
まるで新人の演歌歌手の初ステージみたいな顔してるじゃん」
「うるせえ。
マジ、ヤバい・・・
俺、倒そう・・・」
夏子はそんな晴太もたくさん写真に収めた。
里子は晴太の手を取り鳥居の下に立った。
そして、一歩ずつ前へ進んで行く。
里子と晴太の後ろにはお互いの家族が笑顔でついてくる。
「晴太さん、お母さんとお父さん、間に合って良かったね」
晴太の親はもう里子にメロメロだった。
ずっと行方不明だった息子が急に可愛らしい女の子を連れて家に帰ってきた。
里子はすぐに晴太の両親の心も掴んだ。
晴太自身、まだ照れくさくて面と向かって親とは話していない。
でも、里子がそんな晴太を守ってくれた。
里子の言葉で晴太の想いを上手に両親に伝えてくれる。
本当に俺は里子に救われている。