窓ぎわの晴太くん
夏子は里子が晴太に気があることをもう気づいていた。
でも、晴太は?
それだけはいくら幼なじみの夏子にも分からない。
晴太が里子のようなウブな女の子に本気になるとも考えられない。
夏子は晴太の事は気にせずに正直に里子に話す事にした。
「ハルはね・・・
3年前までは普通の男の子だった。
名の知れた一流大学に入って上場企業の商社に就職したのに・・・」
「したのに?」
「なんだかよく分かんないだけど、いつの間にか会社辞めてしばらく行方不明になってたんだ」
「行方不明??」
里子は驚いて閉じていた瞼を開けてしまった。
目の中に飛び込んできたのは夏子のしかめっ面だった。
「ののちゃん、目を閉じて。
まだ開けちゃダメなの」
「ごめんなさい・・・」
里子は夏子のその先の話が聞きたくてウズウズしていた。
行方不明って・・・
晴太さんに何があったの??
「私が独立して店を開くことになったのをどこからか聞きつけて久しぶりに連絡が来たの。
半年くらい前かな。
実は私もハルの今は全く知らないんだ。
逆に今日ののちゃんみたいな子を連れてきてビックリしてるんだから」