窓ぎわの晴太くん



里子はそれからしばらく夏子の店で待っていたが、晴太は帰ってこなかった。


「夏子さん、私、もう帰りますね。
明日も仕事なので・・・」


里子はそう言うと、今日の代金を夏子に渡した。


「ののちゃん、ハルのことは・・・」



「はい、分かってます。
職場のおばちゃん達にも、夏子さんと同じような事を言われてるんです。

今日は晴太さんに誘われてただ嬉しくてここまでついてきちゃったんですけど、でも、夏子さんに会えてとても楽しかったです。

こんなに可愛くしてもらって、それに髪の分はただにまでしてもらって・・・


本当にありがとうございました」


里子は精一杯の笑顔で丁寧にお辞儀をした。
晴太が戻って来ないという事実は里子の胸に大きな穴を開けていたけれど・・・


「ののちゃん、一か月後にまたいらっしゃい。
まつ毛のエクステもそれ位しかもたないから・・・

それに私もののちゃんに会いたいから・・ね?」



「はい、分かりました。
必ず来ますね。

それじゃ、さようなら・・・
本当にありがとうございました」


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