窓ぎわの晴太くん
晴太は優しく里子を見ると、里子のボサボサになった前髪を軽やかに全体の髪になじませ頬に張り付いた横の髪を耳にかけてくれた。
そして、親指と人差し指で長方形の枠を作り、カメラを向けるようにその中から里子を見た。
「あか抜けてないなんて誰が言ったんだ?
僕のカメラに映るののちゃんは僕が知っている誰よりも可愛いのに。
今日のエクステだってイメチェンした髪形だって、ののちゃんの持っている物がいい形で表に出ただけだよ。
ののちゃんは可愛いんだから、自分に自信を持たなくちゃ」
里子はまた涙がこみ上げてきた。
「ののちゃん、泣いたらだめ・・・
エクステがとれちゃうよ」
「・・・はい」
里子は嬉しいのか恥ずかしいのか何が何だか分からなかった。
涙も胸の鼓動も止まらない。
「よし、じゃ、食べようか。
たくさん頼んだからさ。
こんなまともなご飯を食べるのって久しぶりだよ」
そう言うと、晴太は豪快に揚げ物からサラダからパクパク食べ始めた。
そして里子の取り皿にもたくさんの食べ物を載せてくれる。
「ののちゃん、食べないの?
全然、手をつけてないけど」