窓ぎわの晴太くん




里子は晴太に“ののちゃん”と呼ばれるたびに胸が踊った。


晴太は中途半端な時期に前半の派遣さんとしてこの職場にやって来た。
前半の派遣さんとは月火水の三日勤務の派遣さんの事をそう呼んでいる。
ここの職場には週三と週五で働く派遣さんがいて、そして大半は女性だった。


三か月前のある日、外は雪の降る寒い日だった。
派遣会社の田中さんに連れられて、晴太は黒のダッフルコートに身を包み颯爽とやって来た。
メンズファッション雑誌から飛び出してきたのではないかと思うくらいに、晴太は背が高く小顔のはにかむ笑顔が素敵な男性だった。



里子はここで働いている派遣のおばちゃん達にとても可愛がられている。
その中でも、西川さんチームという前半の派遣さんグループの人達とは特に仲が良かった。


「ののちゃんは男の人には免疫がないわけだから、私達がちゃんと見極めてあげる」とか、


「顔も良くてスタイルもよくて年も若くて高学歴なのに、なんで派遣?」とか・・・



そんな言葉が飛び交っていることにも全く気づかない里子は、晴太に三日間つきっきりで仕事を教える段階で、一人で勝手に恋に落ちた。







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