窓ぎわの晴太くん



「は、晴太さんは・・・

今、つき合っている人とかいるんですか?」


晴太は、少し拍子抜けした。

もっと聞くことはたくさんあるだろ?
大人の男の人がなんで週三の派遣社員なのか?とか、働いてない日は何をしているのか?とか、その前にあなたは一体何者なのか?とか。
晴太は、何も疑いを持たない里子をどう扱っていいのか分からなくなっていた。


「つき合ってる人はいないよ」



「本当ですか?」


里子の頬が赤く染まっている。


「うん」


晴太は里子の純粋な心を傷つけてはいけないと自分に言い聞かす。


「晴太さん・・・

私、晴太さんに好きになってもらえるよう頑張ります。
いつか晴太さんの彼女になれるよう・・・」



「ののちゃん、それは・・・」



「いいんです。
これは私が好きで勝手にやることですから。

まずは・・・
私、晴太さんが出勤する日に、晴太さんにお弁当を作ります。

そうだ。
明日も出勤ですよね?

明日はコンビニで何も買ってこなくていいですからね」





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