窓ぎわの晴太くん



「あ、それと、西川さん。
西川さんに今日お弁当作ってきたんです」



「お弁当?」


西川達は皆一同で驚いている。


「はい、係長にも晴太さんにも作ってきました」


西川達一同はますます目を丸くして驚いた。


「だから、今日はお昼は何も買いに行かなくて大丈夫ですからね」



「え、あ、うん。
とりあえず、ありがとう、ののちゃん・・・」


西川がそう言うと、里子は広瀬を見つけ慌てて走って行った。
広瀬にもきっとお弁当の事を話しているのだろう。
広瀬のポカンとした顔が見える。


「西川さん、
ののちゃん、かなり晴太君に入れ込んでるんじゃないですか?」


晴太の裏の顔を垣間見た鈴木は声を震わせてそう言った。


「そうね・・・
ののちゃんが深みにはまる前に、私の方から晴太君に少し話してみるわ」


すると、後ろの方で晴太の声がした。
爽やかな声で挨拶をする晴太を西川達はじっと見た。

その視線に気づいたのか晴太も西川達をじっと見る。

晴太のまるで蛇が獲物を見つけたかのような冷めた目つきは、年配の女性達さえも震え上がらせた。







< 34 / 208 >

この作品をシェア

pagetop