窓ぎわの晴太くん
「あ、それと、西川さん。
西川さんに今日お弁当作ってきたんです」
「お弁当?」
西川達は皆一同で驚いている。
「はい、係長にも晴太さんにも作ってきました」
西川達一同はますます目を丸くして驚いた。
「だから、今日はお昼は何も買いに行かなくて大丈夫ですからね」
「え、あ、うん。
とりあえず、ありがとう、ののちゃん・・・」
西川がそう言うと、里子は広瀬を見つけ慌てて走って行った。
広瀬にもきっとお弁当の事を話しているのだろう。
広瀬のポカンとした顔が見える。
「西川さん、
ののちゃん、かなり晴太君に入れ込んでるんじゃないですか?」
晴太の裏の顔を垣間見た鈴木は声を震わせてそう言った。
「そうね・・・
ののちゃんが深みにはまる前に、私の方から晴太君に少し話してみるわ」
すると、後ろの方で晴太の声がした。
爽やかな声で挨拶をする晴太を西川達はじっと見た。
その視線に気づいたのか晴太も西川達をじっと見る。
晴太のまるで蛇が獲物を見つけたかのような冷めた目つきは、年配の女性達さえも震え上がらせた。