窓ぎわの晴太くん
「里子ちゃん、全然いいよ。
僕はお弁当を作ってもらっただけでなんか感動してるんだ。
僕の奥さんはお弁当とか作ってくれないからね。
どんな理由であれ里子ちゃんが僕に作ってくれたってだけで嬉しい」
広瀬は本当に感動していた。
このオペレーター室にいる社員は里子と広瀬の二人だけだ。
いつも孤独を感じていた広瀬には本当に嬉しいサプライズだった。
目頭を押さえながら広瀬はお弁当を開けてみた。
青いバンダナにくるまれた広瀬のお弁当は正方形のただのタッパーに入っていた。
「実は、お弁当箱もたくさん持っていなくて・・・」
里子が申し訳なさそうに言っても、広瀬は笑顔でただ頷くだけだった。
広瀬が蓋を開けてみると、そこには海苔で巻いた小さなおにぎりと真っ白い小さな塩おにぎり、卵焼きが二切れ、唐揚げが一個、タコのウィンナーが一個、ミートボールがたったの2個という幼稚園児のお弁当の方がまだ大きいのでは?と思うほど小さなお弁当だった。
「あ、ののちゃん、あれ・・・」