窓ぎわの晴太くん



西川の隣で広瀬のお弁当を覗きこんでいた柴田はある物に気づき驚愕した。
すぐに里子の腕を引っ張りその物が何かを聞いてみた。


「ののちゃん、お弁当のおかずにひじきが入ってる?」



「ひじき? いや、ないですよ」



「じゃ、あの白いおにぎりの上についてるひじきの様な物は何だろう?」


西川はすぐに気づいた。
今度は西川が里子を引っ張り自分の方へ寄せた。


「もしかして・・・
あのおにぎりのひじきの様な物・・・

ののちゃんのまつ毛じゃないかしら?
エクステのまつ毛」


里子はギョッとした。
確かによくよく見ると、広瀬のお弁当の中にある白いおにぎりの上にひじきのようなまつ毛がのっている。

里子のお弁当を食べ始めていた広瀬の箸は、そのおにぎりに伸びていた。


「係長、まずは海苔のおにぎりからどうですか?」


そう叫んだ里子だったが、もうすでに遅かった。
小さな一口サイズの白いおにぎりは瞬く間に広瀬の口に放り込まれた。


「あ・・・」


里子はそれ以上何も広瀬に言わなかった。

見なかったことにします・・・
ごめんなさい、係長・・・







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