窓ぎわの晴太くん




「晴太さん、もう休憩の時間ですよ」


里子は赤いバンダナにくるんだお弁当を胸に抱いて晴太にそう声をかけた。


「ののちゃんは休憩は終わったの?」



「いえ、今日は係長が12時からなので、私は13時からなんです」


里子は頬を赤く染めて恥ずかしそうに答えた。


「晴太さん、休憩室でお昼食べますか?」


晴太はパソコンの電源を落とし広瀬に提出する午前の分のクレームの書類をファイルにはさみながら席を立った。


「うん、休憩室に行こうか」


晴太は、窓から外を眺め小さくため息をついた。
里子の存在を拒む事を俺はできるのか?
心の中の葛藤を気づかれないように、晴太は里子に先を歩くよう促して自分は後ろをゆっくり歩いた。


「係長や西川さんはお弁当を喜んでくれた?」


休憩室に入ると晴太は里子に声をかけた。
思いのほか人が少なく、晴太達は一目につきにくい奥のテーブルに座れたから。



「・・・・はい。
でも、ちょっとしたハプニングがありまして・・・」



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