窓ぎわの晴太くん




パソコンを打つ指先の美しさ・・・
綺麗に整えられている爪に指の長さと太さのバランスが絶妙に素晴らしい・・・


そう、野々山里子は誰にも明かしてはいないが、究極の指先フェチだった。
男性の場合は特に顕著に。
里子にとって晴太の指先はあり得ないほどに完璧だった。


あれから三か月・・・
男性と一度もつき合った事がないウブで真面目な里子は、晴太への想いは膨らむ一方なのに話せるだけで喜びを感じている日々だった。


そんな十代の乙女じゃないんだから話すだけの日々から脱出しなきゃ。
“晴太さんは、彼女はいるんですか?”
いつかは聞きたい・・・
いや、いつかなんてダメ。
そう、今日聞くののよ、里子、分かった?


「ののちゃん?
大丈夫? ちゃんと聞いてる?」


晴太は一人で頷いたりにやけたりしている里子の顔の前で手を振って見せた。

ハッと我に返った里子は思いのほか晴太の顔が近くにあり驚いてしまい、また一瞬で顔が真っ赤になった。


「は、はるたさん・・
いや、東さん、私・・・

私・・・」



「何?」



「こ、今度、田中さんに東さんに残業手当つけられないか交渉してみます」



ほら・・・
やっぱ言えるわけない・・・
残業手当って・・・

はあ・・・










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