窓ぎわの晴太くん
晴太は久しぶりに腹の底から笑った。
里子が広瀬のお弁当の一連の話を面白おかしく教えてくれたから。
「今日だけでまつ毛、結構抜けちゃったみたいなんです」
晴太は里子の顔をジッと見ていると可愛らしい里子の瞳にキスをしたくなった。
ヤバい・・・
もう俺はどうかしている・・・
「やっぱり昨日泣いたのが良くなかったのかも」
「ごめん・・・
僕のせいで・・・」
「そんな事言わないでください。
私が勝手に泣いちゃっただけなんですから」
里子は明るくそう言うと、赤いバンダナでくるまれたお弁当を恐る恐る開き始めた。
里子は広瀬のお弁当のまつ毛事件の後、慌ただしく仕事に戻ったために晴太のお弁当の状態をまだ調べすにいた。
さすがにもうまつ毛は落ちてはいないはず・・・
里子が広げたお弁当を見て晴太は胸が踊った。
里子は料理上手らしい。
お弁当の中身は、晴太の好物の鳥の唐揚げがメインで卵焼き、煮もの、ブロッコリーのマヨネーズ和えといった風に色彩豊かで料理の本に載っているようなお弁当だった。
「すごいよ・・・」