窓ぎわの晴太くん
「いただきます」
晴太はそう言うと、まず最初に鳥の唐揚げに箸を伸ばした。
「美味しい~~~
昨日食べた居酒屋の唐揚げより、ののちゃんの作った唐揚げの方が百倍美味しい」
晴太はそう言いながら、また豪快にパクパク食べてくれた。
里子はそんな晴太を見るだで最高の幸せを感じていた。
料理だけは好きで自信があった。
そして大好きな人にこんなに喜んで食べてもらえるなんて、里子にとっては夢のようだった。
「あれ?
ののちゃんの分は?」
晴太は何も食べずに見ている里子に聞いてみた。
「そ、それが3人分作ったらおかずもお米も足りなくて・・・
でも、晴太さんが美味しそうに食べてくれてるのを見るだけでもう胸一杯です」
すると、いきなり晴太が里子の口元に唐揚げを運んできた。
「はい、口開けてごらん。
一緒にたべよ」
里子は真っ赤になりながらその唐揚げをほおばった。
晴太の優しい笑顔が里子を包み込む。
晴太は一つの箸で交互に二人の口に食べ物を運ぶ。
ごちそうさまの代わりにキスをしていい?
言ってはいけない素直な言葉を晴太は心の中でつぶやいた。