窓ぎわの晴太くん

   晴太の弱み




里子は午後の仕事に中々集中できずにいた。
休憩時間に晴太と過ごした時間は、恋愛経験ゼロの里子を完全に恋人気分にさせた。
晴太がこの会社に来てから3か月、里子はずっと晴太を見つめるだけの片思いの日々を送っていたから。


それがどうしたというのだろう・・・
晴太は里子を可愛いと言ってくれる。
愛おしそうな瞳で里子の頭をポンポンしてくれる。

人を好きになるってこんなに幸せで苦しい事なの?

もっともっと、晴太に触れてほしい。
もっともっと、可愛いって言ってほしい。

もっともっと晴太の近くにいたい・・・


里子は自分の席から遠く離れている晴太の席をぼんやり見ていた。

っていうか、広瀬係長はなんで晴太さんのデスクをあんな端っこの寂しい場所にしたのだろう?
午後になれば西日が強く夏の時期は本当に暑いのに・・・

里子は無意識に目の前に座る広瀬の事を睨んで見ていた。

この係長の席が晴太のデスクだったら本当によかったのに・・・
でも、きっと、私は仕事に集中できないわ・・・
それに晴太に仕事が遅いこともばれてしまう・・・


広瀬は焦点の定まらない目でにやついている里子を不気味に思ったが、何も触れずにそっとしておいた。







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