窓ぎわの晴太くん
里子は晴太の帰る時間が近づくと急激に寂しさが襲ってきた。
前半組のシフトの晴太は明日から休みに入る。
木金土日・・・
4日も晴太さんに会えないなんて・・・
里子は勇気を振りしぼって晴太に連絡先を聞くことを決めた。
里子は晴太の事を何も知らない。
せめてメールアドレスかラインのIDかを教えてもらえれば、少しはこの寂しさが和らぐ気がした。
しかし、恋愛経験ゼロの里子にとってはこの連絡先を聞く事さえもありったけの勇気をかき集めないと行動にうつせない。
そうしているとあっという間に夕方になっていた。
この時間の里子は派遣さんのシフト表にハンコを押したりチェックをしたりで大忙しだ。
里子は横目で晴太の存在を確認しつつ急ピッチで仕事を進めた。
「ののちゃん、今日は仕事が早いじゃな~い。
やればできる子、だったのね」
派遣さんの冷やかしが聞こえる中、里子は気にせず仕事に没頭した。
晴太はいつも通り上がる時間が過ぎてもまだ仕事を続けている。
里子は晴太が帰る時に連絡先を聞こうと思っていると、急に晴太が帰り支度をし始めた。