窓ぎわの晴太くん
水曜日は前半組の最終日ということで里子の仕事は普段より多かった。
派遣さんの出勤日数、時間、契約数を集計しなければならない。
それは皆が帰ってからでもできること・・・
今はとにかく晴太さんのチェックを済ませた後にちょっとでいいから時間を作らなきゃ。
晴太は普段通りのんびりとこの列の一番後ろに立っている。
すると、晴太の後ろに西川とその仲間たちが並んでしまった。
里子は晴太の順番が近づくたびにどうやって連絡先を聞き出すか必死に頭を働かせた。
でも、晴太の後ろで見え隠れする西川の顔が目に入り、まともな考えが浮かんでこない。
「ののちゃん、お疲れさまでした。
今日はお弁当本美味しかったです。
本当にありがとう」
いよいよ晴太の番がきた。
里子はひきった笑みを浮かべながら晴太のシフト表に目を通す。
前の人よりチェックをしてサインをする時間が倍ほどかかっている。
里子は必要以上にきょろきょろと周りを見回したり、明らかに挙動不審になっていた。
ど、どしよう・・・
このままじゃ晴太さんは帰ってしまう・・・
「・・・はい、チェックしました。
・・・お疲れさまでした・・・」