窓ぎわの晴太くん
晴太は里子からシフト表を受け取り、里子に軽く会釈をすると入口の方へ歩いていった。
きっと廊下の先にある更衣室のロッカーに上着を取りにいくはずだ。
里子はもう晴太しか見ていなかった。
「ののちゃん、お疲れさま~
今日のお弁当、本当に美味しかった~
ののちゃんが料理上手なのにも驚いちゃった~」
西川がそう言って里子にシフト表を渡そうとした時、里子は「ウッ」と言うとお腹を押さえ顔をしかめながら西川を見た。
「ののちゃん、どうしたの?」
「ちょ、ちょっと、お腹の調子が・・・
すみません、3分程トイレに行ってきます・・・
ごめんなさい・・・
すぐ帰りますので・・・」
里子はそう言うと、お腹を抱えながら猛スピードで廊下の方へ走って行った。
西川達はその里子の行動を半ばあきれ顔で見ていた。
明らかに晴太を追って出て行ったのはここにいる皆にお見通しだ。
「西川さん、ちょっと様子を見てきましょうか?」
里子を心配した柴田は西川にそう聞いてみた。
「う~ん、そっとしてあげましょう・・・
なんだか胸が痛いわね・・・
ののちゃんが恋を知った事はすごく喜ばしいことなんだけど、相手が晴太君じゃね・・・
泣く羽目になるのは目に見えてるから・・・」