窓ぎわの晴太くん
里子は夏子の店で待っている間もずっと携帯を見ていた。
元々友達が多い方ではない里子はメールが来ることの方が珍しい。
何度も携帯の電源をつけては何度もため息をついていた。
涼はそんな里子をずっと見ていた。
大学院に進んでロボット工学の研究を極めている涼にとって、今の里子の動きは人型ロボットを彷彿させた。
ますます目が離せない・・・
どんな性格でどんな生活を送っているのだろう・・・
「ただいま~」
夏子の甲高い声が聞こえ、里子はホッとした顔で夏子に歩み寄った。
「ののちゃん、どうしたの?
涼からメールもらって、心配で急いできちゃったよ」
里子は夏子に優しい言葉をかけられ、もうすでに目には涙がたまっていた。
「ののちゃん?
この子、ののちゃんって呼ばれてるんだ」
「涼、お客様にそんな態度とったらダメ」
夏子はそう言いながら里子のまつ毛を手で触れて状態を見ている。
「結構、取れちゃったね?」
「ごめんなさい・・・
あの日、思いっきり泣いちゃって・・・
せっかく綺麗にしてもらったのに」