窓ぎわの晴太くん
夏子はあの日の事を思い返していた。
里子は晴太を待っていたが晴太は結局現れず里子は一人で帰った日だ。
「ハルとなんかあった?」
夏子は優しく里子に聞いた。
「いえ、晴太さんはいつも通りに優しいです。
ただ私が勝手に泣いちゃっただけで・・・」
すると急に涼が立ち上がった。
「晴太ってあの晴太??」
「そう、近所に住んでいるあの晴太・・・
涼、ちょっと黙ってて」
涼は黙っていられなかった。
「え? 里子ちゃんって晴太とつき合ってるの?
だって、あいつ行方不明だったじゃんか?
おばちゃんがどんだけ心配してると思ってるんだよ」
「涼!!
黙ってられないんならちょっと外へ出てて。
それにあいつって・・・
ハルはあんたより4つも年上なんだからね」
涼はとりあえず静かになった。
でも、里子の顔から目を離さない。
「あの・・・
つき合ってなんかないです・・・
私が勝手に好きなだけで・・・
連絡先も教えてくれない・・し・・・
あ、でも、私のメアドは聞いて連絡くれるって言ったんです・・・」
そこから先は何も言えなかった。
涙や鼻水があふれ出て言葉を喉の奥に押し込んでしまったから。