窓ぎわの晴太くん



里子は自分が晴太に見られていると気づいた途端、恥ずかしくなり下を向いてしまった。

自分が可愛くないのは分かっている。
今まではそんな事何も気にならなかった。
でも、今は違う・・・
笑うと頬に縦じわが入る癒し系の笑顔と涼し気な目元を持つ晴太に似合う女性になりたいと、里子は心からそう思っていた。


「ののちゃんさ、お化粧とかしないんだ?」



「え? あ、はい・・・
でも、少しだけ塗ってはいるんです・・」



「塗ってる?
リップ?
ファンデ?」



「グロスを・・・」


すると、晴太は里子の正面に回り込み俯いている里子の顔を指で持ち上げた。
里子は恥ずかしさのあまり、両耳を手で隠して晴太を見た。


「ど、どうしたの?」



「私、晴太さんに見られると耳が真っ赤になっちゃうんです。

それに、その指が、私の顎に・・・」


里子はあの綺麗な指先が自分の顎に触れたという事実に卒倒しそうだった。


晴太はそんな里子を見て吹き出しそうになったが、笑い声を喉の奥で飲み込んだ。
だって、耳を隠しても顔全体が真っ赤なのだから関係ないんだと教えてあげるのは酷だと思ったから・・・











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