窓ぎわの晴太くん
その後、里子は楽しい時間を過ごすことができた。
夏子と涼の思い出話は本当に面白かった。
そしてたまに出てくる晴太の話は、里子をもっと晴太に夢中にさせた。
少年時代の晴太を想像するだけで里子は胸が高鳴った。
すると、夏子の携帯が短い音をたてて鳴った。
夏子はその送られてきたメールを読み終わると、里子に向かってウィンクをした。
「ののちゃん、ハルがここまで迎えに来てくれるって。
そこを出てすぐのところにコインパーキングがあるからそこで待ってるって」
里子はあまりの突然の事に顔が真っ赤になった。
「な、なんで、晴太さんは私がここにいる事を知ってるんですか?」
夏子は里子を見て笑った。
「私が教えたの。
ごめん、余計な事だった?」
「い、いえ、全然・・・
ありがとうございます・・・」
涼が不機嫌そうに夏子を睨んだ。
「俺も久しぶりに晴太に会いて~~」
「あんたは行かなくていいの」
すっかり上機嫌になっている里子は、そんな二人のやりとりを見ると首を横に振った。
「一緒に行って全然大丈夫です。
涼さんを見たら晴太さんも喜ぶはずだから・・・」
夏子は里子のお人好しさに呆れて大きくため息をついた。