窓ぎわの晴太くん
「よっしゃ~~~。
あ、それと晴太?
おばちゃんに晴太と会った事言っていい?
なんか晴太の事心配してばっかりで可哀想だからさ」
晴太の顔が一瞬歪んで見えた。
里子は自分が涼を連れてきた事を今になって後悔した。
「どうでもいいよ。
じゃあな」
晴太は、里子が今まで見た事がないような冷たい目をしている。
「涼さん、今日はありがとう・・・
夏子さんにもよろしく言ってて下さいね」
里子はそう言うと晴太の隣に駆け寄った。
街灯に照らし出される晴太の顔はなんだかとても疲れて見えた。
「里子ちゃん、連絡するからね~~」
里子が振り向いて涼に手を振ろうとすると、晴太がその手を力強く握った。
晴太の車は旧式の紺色のシビックだった。
後ろの席には大きな黒のボストンバックが置いてある。
「乗って」
晴太は荒々しくドアを開け、里子を押し込んだ。