窓ぎわの晴太くん



「そうなんだ。
じゃ、僕が初めて?」



「・・・はい」


里子は顔を赤くして頷いた。


「友達が家に遊びに来ることもほとんどないので、今日は晴太さんが来てくれて本当に嬉しいんです。

晴太さん、お腹すいてないですか?」


里子はそう言うとキッチンに立ちフライパンを取り出した。
晴太はすぐに里子の背後に回り、里子の持っているフライパンを優しく取り上げた。


「ののちゃん、ごめん。
そんなに長くは居れないんだ。

お茶だけでいいよ」


里子は振り返って晴太の顔を見た。
里子の顔は笑っているが泣いているように見える。


「晴太さん、10分あったらすぐに炒飯作れます。
私、晴太さんが何も食べてないの知ってるんです。

夏子さんの所まで来てくれるのに夕飯を食べる時間なんてなかったはずだから」


里子はそう言うと、晴太からフライパンを返してもらった。
手際よく炒飯を作る里子の姿を、晴太はキッチンの壁にもたれてジッと見ていた。


里子といると胸が苦しくなる。
それはまだ始まってもいない里子との関係を終わらせないといけないから。

俺自身はどうなろうと関係ない・・・

里子が悲しまないように傷つかないように、俺は一体どうすればいいのだろう・・・

















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