窓ぎわの晴太くん
里子の作ってくれた炒飯は本当に美味しかった。
トマトと卵の温かいスープと一緒に、晴太は炒飯をあっという間にたいらげた。
晴太が里子を見ると、里子はとても幸せそうな顔をして晴太の事を見ている。
「ののちゃん、本当に美味しかった。
今まで食べた中でののちゃんの炒飯がナンバーワンだよ」
里子はクスッと笑った。
「晴太さん、そればっかりじゃないですか。
この間はお弁当の唐揚げを食べて、ののちゃんのが一番美味しいって」
「だって僕の中では本当にそうなんだから。
ののちゃんは絶対いいお嫁さんになれるね」
「ありがとうございます・・・」
里子はこんなに幸せなのになんだかとても悲しかった。
「じゃ、僕はそろそろ帰るよ」
晴太は食べ終わったお皿を流しの方へ持っていってくれた。
「あ、晴太さん、食後にコーヒーでも・・・」
「ありがとう。
でも本当に帰らなくちゃ。
ののちゃんも明日は仕事でしょ?」
晴太はそう言いながら玄関へ向かって歩き出した。