窓ぎわの晴太くん



里子の作ってくれた炒飯は本当に美味しかった。
トマトと卵の温かいスープと一緒に、晴太は炒飯をあっという間にたいらげた。

晴太が里子を見ると、里子はとても幸せそうな顔をして晴太の事を見ている。


「ののちゃん、本当に美味しかった。
今まで食べた中でののちゃんの炒飯がナンバーワンだよ」


里子はクスッと笑った。


「晴太さん、そればっかりじゃないですか。
この間はお弁当の唐揚げを食べて、ののちゃんのが一番美味しいって」



「だって僕の中では本当にそうなんだから。
ののちゃんは絶対いいお嫁さんになれるね」



「ありがとうございます・・・」


里子はこんなに幸せなのになんだかとても悲しかった。


「じゃ、僕はそろそろ帰るよ」


晴太は食べ終わったお皿を流しの方へ持っていってくれた。


「あ、晴太さん、食後にコーヒーでも・・・」



「ありがとう。
でも本当に帰らなくちゃ。
ののちゃんも明日は仕事でしょ?」


晴太はそう言いながら玄関へ向かって歩き出した。








< 70 / 208 >

この作品をシェア

pagetop