窓ぎわの晴太くん
晴太は仕事を定刻に終わらせた。
西川を待たせるわけにはいかない。
西川も今日は時間ピッタリに仕事を終わらせ、もうすでにここにはいなかった。
「晴太さん、今日は早いんですね・・・」
シフト表をチェックしながら里子はそう言った。
「うん、ちょっと用事があって。
ののちゃんは?」
「私は今日は月曜日なのでちょっと夕方に会議が入ってるんです」
「そうか・・・
頑張って」
晴太は内心ホッとしていた。
里子に気づかれないようにと西川も思っているはずだろう。
晴太は前もって携帯で調べていた純喫茶サフランに向かって歩き出した。
駅前といっても、そこはかなり分かりづらい場所だった。
でも外観は古い歴史を思わせるような佇まいだ。
外から見える小窓を覗いてみると、奥のテーブルで本を読みながらコーヒーを飲んでいる西川を見つけた。
「お待たせしました」
晴太は唐突に西川の前の席に座った。
「いらっしゃい」
西川も不吉な笑みを浮かべ晴太を歓迎した。
「で、俺に話って何でしょうか?」