窓ぎわの晴太くん
西川は上目使いで晴太を見ると、メニュー表を晴太の目の前に置いた。
「ここのコーヒーは昔ながらのサイフォンで淹れてくれるから美味しいのよ。
ホットにする?」
晴太はメニュー表を開きもせずに静かに頷いた。
西川はカウンターにいるマスターに大きな声で注文した。
「晴太君、私は別にあなたを責め立てるためにここに呼んだんじゃないの。
あなたがあの職場に来てから3か月以上も経つのに、あまり会話がないでしょ?
ま、デスクがあんな窓際で孤立しちゃってるものね・・・」
西川がそう話していると、かなり年配に見えるマスターがコーヒーを持って来た。
「西川さん、こんな若くてハンサムな若者とデートかい?」
笑うと茶目っ気たっぷりの雰囲気を持つマスターが西川にウィンクをした。
「そんなんじゃないのよ~~~」
晴太は西川にはまるっきり興味はない。
でも、職場では見れない西川を見るのは少し面白かった。
「ごめんなさいね。
じゃ、あなたのコーヒーもきたし、本題に入らせていただくわね。
ののちゃんとは今、どういう関係なの?」