窓ぎわの晴太くん



西川は全く心を開こうとしない晴太に何を話しても無理なのではと、半分途方に暮れていた。
でも里子の傷つく姿は見たくはないし、それでも傷つくのなら傷が浅い内にと真剣に考えていた。


「あなたに黒い噂が流れているのは知ってるわよね?

27歳の働き盛りの大人の男が週三回の派遣で働いているのも不思議だし、あなたが電話でひそひそ話してるのを聞いちゃった人がいるのよ。

単刀直入に聞くわね。

何か詐欺まがいの事をしているの?」


西川は言った後に背筋がゾッとした。
晴太の不穏な仕草に答えを見た気がしたから。


「好きなだけ想像してください。

別に西川さん達をとって食べようとは思ってませんから」



「じゃ、ののちゃんは?
彼女の事はどう考えているの?」


西川はこの見た目は柔らかい印象を与える青年に一体何があったのか好奇心をそそられた。
でも、今は里子の身の安全を確保しなければならない。



「俺がののちゃんの事をどう考えているかってあなた達に言うわけないでしょ?


・・・・でも、安心してください。


俺、あと一か月ちょっとであの会社出て行きますから・・・」








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