窓ぎわの晴太くん
里子の泣顔
「晴太さん、ごめんなさい・・・」
里子は焦げた鍋を水で流している晴太の後姿に向かって謝った。
「これカレーだった?」
晴太は鍋にこびり付いているジャガイモを見つけて里子にそう聞いた。
「ううん・・・
肉じゃがです・・・
本当にごめんなさい・・・」
晴太は鍋に水を張って、そしてようやく里子の方を見た。
「いや、僕が急に下から呼んで驚かせたのが悪かったんだ。
でも、これだけで済んで本当によかったよ」
「・・・はい」
晴太は整然と片づけられたキッチンを見て、里子の女子力に感心していた。
「ののちゃんの肉じゃがを食べれなかったのはちょっと残念だったけど」
「・・・はい」
里子はかなり落ち込んでいた。
せっかく晴太がここに来てくれたというのにこんな失態を見せてしまって・・・
それに夕飯をどうぞって言いたかったのに言えなくなった。
お味噌汁とご飯はあるけれど、今から急いで何が作れるだろう?
里子は晴太を見て力なく微笑むと冷蔵庫を開けて中を覗いて見た。
「晴太さん、お夕飯食べていってくださいね」