窓ぎわの晴太くん
涼は食後のコーヒーまでいただいた。
時計を見ると11時を回っている。
「里子ちゃん、ヤバい・・・
こんな時間までお邪魔しちゃった。
もうそろそろ帰らなきゃ」
涼はスマホを取り出し電車の時間を調べていた。
それを見ていた里子はまた晴太の事を思い出す。
「私・・・
晴太さんからまだ連絡先も何も聞いてないの。
それって私には全く興味はありませんって事なんだよね?」
里子の顔が曇り始める。
「晴太に関しては全く分からん。
なんか教えられないヤバい事でもあるんじゃね?」
涼は何も考えずにそう言ったものの、里子がまばたきをしていない事に気づいた。
「晴太さん、携帯はガラケーしか持ってないって言ってたのに普通にスマホを持ってた。
今日だって、私に会いに来てくれたんだって思ってすごく喜んでいたのに急にいなくなって、それから何も連絡もなくて・・・」
「里子ちゃん・・・」
涼は晴太の携帯番号を知らない。
知っていれば番号でもアドレスでも晴太の事は何でも教えてあげたくなるほど里子が可哀そうだった。
所詮、晴太は里子の事を真剣に考えてないんだろ。
あんな冷めた目をして女を知り尽くしている奴が里子なんか相手にするはずがない。