窓ぎわの晴太くん



「係長、遅くなりました・・・」


里子は紙袋を抱えて帰ってきた。

いつもより朝早くに会社に着いた里子はこのオペレーター室の備品のチェックに精を出した。
そして足りない物リストを作り、総務の方へ調達に行っていた。

本来なら30分もあれば済む仕事だが、里子は晴太が自分のデスクについてから帰りたかった。


昨日ああいう事があって晴太さんはどういう顔をして私に会うのだろう?
その前に私は泣いてしまうかもしれない・・・
会社に私情は持ち込んではいけないとずっと自分に言い聞かせてはいるけれど、晴太の顔を見たら昨夜の事を思い出して胸が苦しくなるに違いない。


里子はすぐに備品をしまっている棚に向かった。
とにかく窓際から遠い場所にいたい。

晴太の普通にしている顔を見るのが辛いし怖かった。



でも、一つだけ問題があった。

里子はこんな状況にも関わらず、晴太のためにお弁当を作ってきていた。
もちろん、広瀬にも西川にも・・・


このお弁当をどうやって晴太に渡せばいいのか分からない。


でも、私は約束した・・・
晴太さんに必ずお弁当を作るって・・・
それは私自身に約束した大切な決まり事。

里子、勇気を出すのよ。
いつものように笑顔でお弁当を渡すのよ。


きっと晴太さんだって私のお弁当を待っている・・・












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