手に入れる女
ーーどうだ、すこしはめげたんじゃないですか。
口の端をすこしあげて、得意げな顔をした佐藤を、優香はふんと見返した。
「あら、奥様のお誕生日なんですね。プレゼントは用意されたんですか」
優香の完全な開き直りに佐藤は苦笑いをするしかない。
強情で負けん気の強い彼女は、ちょっとやそっとじゃへこんでくれそうにはなかった。
「妻へのプレゼントですからね、慎重に決めようと思っているところですよ」
ことのほか、妻の存在を強調したつもりであった。
ところが、優香は全くたじろぐ様子もみせず、にっこりと笑って言い放った。
「それでしたら、明日にでも一緒に選びに行きませんか。何を選んだらいいのか教えて差し上げますよ」
ーーはあ!?何を言い出すんだ?
佐藤は狼狽した。
「いや、わざわざ小泉さんに付き合わすのも悪いですから」
優香は落ち着いた態度で、たたみかけるように続けた。
「そんなこと気にしないで下さい。私が一緒の方が、絶対素敵なプレゼントが見つかりますよ、ね?」
ーーオレが動揺してるのを面白がってるのか……。なら、こちらも手加減はしないよ。
佐藤は優香に応酬する。