手に入れる女
優香の得意げな喜色満面の顔を見て、佐藤は大げさにため息をついた。
「小泉さん、ここのところかなり強気ですね」
「ふふ。私は、しつこく粘るのが取り柄なんですよ。狙った獲物は逃さない」
優香は恐ろしい事を平気で言う。しかも極上の笑みで。早々に白旗をあげた方が良さそうだった。
「わかりました。僕の負けです。楽しく買ってさっさと終わらせましょう」
「あらら。さっさと終わらせたいの?」
「買い物の好きな男なんていません」
優香は声をたてて笑う。
「そうですね。じゃ、そこの店で何か探しましょう」
優香はあっさりとすぐ近くにあったビルに入っていった。
そこに入っている雑貨屋はちょっと気の利いたものが置いてあって、割と女性に人気のある店だ。
優香はそこで、作家ものの和モダンな感じのマグカップをペアで選んだ。