手に入れる女

そのうちに圭太が荷物と一緒にやって来て、搬入されるのを見届けると、佐藤たちは新居を後にした。

「お父さんたち、楽しそうで安心した」
「そうだね。オレたちも、あんな風になるのかな」

佐藤は横にいる美智子を見つめた。

「そりゃそうでしょう。ね、のりさん、遅くなっちゃったから、何か食べて帰らない?」

佐藤は、当たり前のようにそうでしょうと返事をする美智子に安心する。
彼女は二人で過ごす未来をこれっぽっちも疑っていないようだった。

先のことをあまり心配しない彼女の隣りにいると、佐藤も知らず知らずのうちに何とかなるだろうと楽観的になれる。
それが心地よかった。

「うーん。疲れたから早く帰りたいんだけど」
「そう、わかった。ご飯どうする?」

「じゃ、オレが何か腕をふるいますよ」
「やったー。おそばでいいよ、おそばで」

二人は笑った。嬉しそうにはしゃぐ美智子が愛おしい。


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