手に入れる女
「何、考えてんの? 女のコといちゃいちゃすれば少しは気が紛れるんじゃないか?
誰か呼ぼうか?どんなのが好みなの?」
「え?」
ふいに名前を呼ばれて佐藤は顔をあげた。佐藤は山本の目の前で慌てて手を振る。
「いい、いい。お前ら見てたらあてられただけだよ」
「……いい加減ふっきれよ」
山本が急に真面目な顔で佐藤を見た。
「ふっきってるよ」
佐藤は弱々しく笑った。
「どこがだよ。……これだから、女遊びしたことないヤツは……いいから誰か呼べよ」
「いいよ」
「可愛い女の子と話してると気が紛れるよ」
「オマエ、今日はやけにしつこいなあ。大丈夫だよ。こっちは一人で楽しくやってるから」
二人の空気が少し険悪になりそうになって、ユカちゃんが慌てて口を挟んだ。
「ねえ、佐藤さん。良かったらその人のこと私にも聞かせて下さいな。
どんな人だったんですか?」
ニコニコと思いがけないことを言われた。山本も同調する。
「そうだよ、そうだよ。思ったこと吐いちゃえよ。楽になるぜ。
ここなら誰にも話がもれる心配ないし」
二人に促されて、佐藤はぽつりぽつりと話し始めた。