手に入れる女

翌日の日曜日。
佐藤は昼下がりにふらりと外に散歩に出かけた。
美智子と家にいるのがどうにも重苦しく感じられたのだ。

美智子はまだ興奮さめやらぬ状態で放っておけば、昨日の食事会のことを延々としゃべり続ける。
おまけに途中から聡子もその話に加わって、姦しい事この上なかった。

川沿いの土手をひたすら歩いたがそれでも気が晴れない。

山下を呼び出した。
昼間っから、場末の飲み屋に集合である。佐藤の今の心持ちにはピッタリの場所かもしれなかった。

「優香に会った」
「なんで? きっぱり別れて、すっぱり忘れるようなこと言ってたじゃねーか。未練がましく再会したのか?」

「ちがう。……偶然に会ったんだ」

山下は、佐藤の話の続きを待った。
それでおしまいなら日曜日の真っ昼間から山下を呼び出したりはしない、というのは山下にも十分にわかっていた。

しかし、佐藤はなかなか話し出さない。
何があったんだろう、と、山下はあれこれ想像しながら佐藤が口を開くのをじっと待った。

「圭太がさ、婚約したんだよ」
「はあ。圭太君がね。良かったじゃねーの」

話が飛んだので、山下はキョトンとした顔で相づちをうった。

「相手が優香」
「は……はー!?」

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