白衣の王子様
ナツくんは看護部長に
一言、二言告げて
私の手を引いて歩いていく。
病院の裏の海岸。
「真白…
お願いだからもう何も言わずに
離れていこうとしないで。」
「ナツくん…ごめん、ごめんね。
私勝手に勘違いして離れて行って…」
「それにこれ、返品不可だから。
真白が持ってて。」
あの時置いてきた合鍵。
…と見たことのない鍵。
「こっちでの家だよ。
真白の部屋もある。
一緒に暮らそう。」
「な…んで…?」
「俺はもう真白が居ないと
生きていけない。
身体は生きていても
心がないただの人形なんだよ。」