たすけて、みひろん!



自分の荷物に加えて友梨さんたちの荷物を持ってくれて、軽かったはずの左腕が重たく感じた。

「みひろん、少しもらうよ〜」

そう言って吉野さんから荷物を取り上げたのは城田くんだった。

その奥で鈴木くんも手伝ってくれていて。

「白雪さん大丈夫?ああいう最低なお願いはズバッと断らないと!」

強くそう言い私を諭してくる城田くんに、

「いや、断る暇もなかったというか、まあ、仕返しに荷物引きずるつもりだったし…」

と曖昧に答えてやると、鈴木くんが遠くでいきなり吹き出した。

「荷物引きずるとか、鬼だな、白雪さん」

意外にもツボが浅いらしく、くくっと笑いを頑張ってこらえようとしている鈴木くんの肩を、城田くんがつんっと小突いた。


まさか手伝ってもらえるとは思わなくて嬉しくて、「よかったな鞄が傷付かなくて」と心の中で友梨さんに毒を吐いた。


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