たすけて、みひろん!



私の顔を覗き込みながら尋ねる吉野さんに、野菜、と簡潔に答えてお弁当をしまう。

みんなが食べ終わった頃に、先生がそれぞれに指示をした。

飯盒炊爨は班ごとに行うわけで、班6人で役割分担をするわけだが、私達は5人班のため本来2人の野菜係を私1人で担当する。

特に重たい荷物があるわけではないが、1人で担当するからにはテキパキ動かなければと、

野菜を受け取ってから野菜を切る場所へと向かおうとしている時。


「あ、白雪さん偶然だねぇ」

またしても友梨さんに声をかけられてしまった。

彼女の手にも、私と同じような荷物があって、ニコニコしながら近付いてくる。

友梨さんの言いたいことなんて聞く前に分かるから、そのまま無視して立ち去ろうとしたのに。

「逃げるとか、ないわ」

馬鹿にするような一言に、思わず足を止めてしまった。


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