たすけて、みひろん!
母を知らない私を気遣って、なかなか再婚を言い出せなさったお父さん。
幼くして母を亡くした私は、仕事で忙しいお父さんから離され近くの親戚の家で過ごした。
そこである程度料理を教えてもらって、小学校高学年でお父さんの元に戻り、1人家で料理を作っていた。
今のお母さんとは再婚を考えていたらしく、私が戻った時点で妊娠していたらしいが、なかなか言い出せなかったんだとか。
お母さんいないの寂しいかと問うたびに、全然と笑って答える私に。
そのため、今のお母さんが来たのは私が新しい生活をスタートした中学校1年生の春。
生まれたばかりの妹を抱かせてもらいながら、よろしくと握手をしたのを今でも覚えている。
「お母さん、いなかったの?」
無神経な質問をどストレートにしてくる吉野さんに、
「そういうのは聞くことじゃないでしょ」
と呆れ顔で突っ込んだ。