たすけて、みひろん!



私達がトランプを積み上げる中、ちらりと見えた静川さんたちはつまらなさそうな顔をしていた。

多分、吉野さんが私の側にいて、なかなか手出しできないからだろう。

イライラしているのはなんだか伝わってくる。

だけどそれを見ないふりして2人でトランプを積み上げていく。


目の前の幸せを積み上げるように、丁寧に丁寧に積んでいく。

なんとか3段まで積み上げられた時に前を向くと、前でまだ2段目で手こずっていて。

静川さんたちはよほどつまらなかったのか、ひょいとピンを飛ばしてきて。

ちょうど私のタワーに当ったピンが、積み上げたトランプを一瞬で崩す。

「あ、よっちゃんごめんねぇ」

思いがこもっていないとはいえ、謝られたからには怒りたい気持ちを我慢した。


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