たすけて、みひろん!



記憶の隅にあるハイキングのコースを思い出しながら歩き始める。

少しずつ灯りが灯してあって真っ暗ではないけれど、灯りの間隔は決して狭くはないから、それなりに薄暗い。

9月の終わり、私の街はまだ暑さが残り夜も生暖かい。

けれどここは風が冷たくて、肌に触れる空気に身を震わせる。


やっぱり帰ろうかなと思っていた時、ちょうど分かれ道に差し掛かった。

「…え、こんなところに分かれ道なんてあったっけ…」

そう呟いて周りを見渡してみると、あまり見覚えのない景色が広がっていた。

だけど、つい前までは確かに見覚えがある。


…もしかしたら、私が荷物持ちをして下を向いていた時に通りかかったのかもしれない。

静川さんの後ろをひたすら歩いていて周りなんて見ていなかったから。


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