たすけて、みひろん!



しまったなと思いながら、直感で右を選ぶ。

ただ、そんな気がするだけだから、怪しいと思ったら来た道を帰ればいいだけ。

道なき道を進んでいるわけじゃないから大丈夫。

そう言い聞かせ歩き始める。


それからしばらく歩いてすぐだった。

道の先に灯りがないことに気付いたのは。


後ろを振り向くと、少し遠くに灯りが見えた。

今までの道ではそろそろ灯りが見えてもいい頃のはず。

それなのに灯りが見えないということは、多分こっちじゃなかったってこと。

それなら引き返さないと、と体の向きを変えたその時、

獣の鳴く声が耳に届いて、振り返る途中に見えたその黒い影に目を見開いた。


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