たすけて、みひろん!
それは確かに吉野さんの声で、そこに立って私を見ているのも吉野さんだった。
「吉野さん?なんで来たの…?」
静川さんが誤魔化さず素直に教えたとは思えない。
だけど、そうじゃなかったらどうしてここにいると分かったのか。
吉野さんはニコッといつものように笑うと、
「だって、静川さん達、美乃ちゃんの布団に枕入れて寝てるってごまかしてさ。
暗くしちゃったら先生も気付かなかったんだけど、私は美乃ちゃんいないって分かってたから。
だから、探しに来たの」
淡々と話して私に近付いてきた。
私はその手を掴んでじっと吉野さんを見た。
「とりあえず、逃げないと」
だから逃げてと吉野さんを逃がそうとすると、吉野さんはニコッと笑ってみせた。