たすけて、みひろん!
ゆっくり後ろに下がる野犬を懐中電灯で照らしながら、同じようにゆっくり追い詰めるみひろん。
何匹かいたうちの一匹が思い切り襲いかかろうとして、みひろんに噛みつく前に弾かれた。
…見えない壁があるみたいで、みひろんに睨みつけられた野犬は、仕方なく立ち去っていった。
一息ついてこちらを向いたみひろんの目が、ぱっと見て分かるほど紅くなっている。
「やったー、帰ってくれたよ」
すごいでしょ、と笑いかけてきたみひろんに、すごいでしょじゃないでしょと呆れ顔で見つめた。
「…えへへ…」
何も言わずに見続けていると、乾いた笑い声をこぼして、ちゃんと話すからと歩き始めた。