たすけて、みひろん!



鞄の中をあさり眺め回す静川さんの手を止めようとすると、思い切りすねを蹴られてしまって。

だけど静川さんが私の財布を見つけることはなく。

「え、嘘、持ってきてないの?まさかあとから取りに行くとか?」

つまんないと呟いた静川さんは、鞄をほかるとそのまま去っていった。


…でも、財布がないなんて有り得ない。

今日、鞄の中にちゃんと入れてきたはずだから。

そう思いどうしようとみひろんを見ると、振り返ってきたみひろんがニコリと笑ってピースをしてきて。

私が鞄を広げると、中にはちゃんと財布が入っていた。

静川さんでも簡単に見つけられる場所に財布が入っていて、みひろんが一瞬で隠したことを悟った。

助かったと、みひろんに口パクでお礼を言うと、みひろんはどういたしましての代わりに微笑んだ。


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