たすけて、みひろん!
その目に見据えられてドキッとしたけれど、堂々と頭を下げてお礼を言う。
その瞬間、周りでみていた人たちがわらわらと集まってきた。
見たところ、翔也くんとは違う中学校の人たちのようだ。
かっこよかったとか、すごかっただとか、もらってもたいして嬉しくない言葉が並べられる。
いつも他人事で、きっと翔也くんを助けようとも思わなかったくせに、こういうときだけそんな言葉ばかり並べる。
止めれなかったとか、悪いと思っていたんだけどだとか。
そんな言葉にムッとしつつ受け取っていると、ある人が私の前に来た。
何か紙袋を持った、私よりも一つ上、つまり翔也くんと同じ年の女の子だ。
その人は私にバッと持っていた紙袋を押し付けた。
戸惑い受け取らない私に、
「…古川くんに、渡してください…」
と小さな声で言った。