たすけて、みひろん!



よくわからずにとりあえず受け取ると、その子は安心した表情をした。

私が相当戸惑っていたから、受け取ってもらえてホッとしたのだろう。

「あの、古川くんのことずっと見てたのに助けられなくて、だからお見舞いにと作ったんです。

でもどこの病院かも病室もわからなくて行く勇気がなくて、だからあなたに持っていってもらいたくて」

お願いしますっと頭を下げた先輩に、断れるはずもなく渋々受け取る。

「わかりました、今日の帰りによっていきます」

…よってくと言っても家と逆方向だけど。

自分の言葉に心の中で突っ込んでいると、わらわらと集まってきた人からいろいろと渡される。

翔也くんにと渡された荷物、自分で届けに行けばいいのにとため息をつく。

「私が、届けちゃっていいんですか?」

両手の埋まる荷物に苦笑いをすると、

「みんなで押しかけるほうが迷惑だしね…」

と誰かが遠慮気味に言った。


翔也くん、顔はかっこいいから、各自で届けてもらうと確かに押しかけちゃう可能性もある。

ただでさえ体調が悪くて入院しているのに、ひどくなってしまうかもしれない。

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